国循官製談合事件 第4回公判速報その2

国循サザン事件-0.1%の真実-無罪を訴える桑田成規さんを支援する会Nです。

2016年6月15日13時10分〜17時00分、大阪地方裁判所第603号法廷にて、国循官製談合事件(「国循サザン事件」)の第4回公判が行われました。

今回は第4回公判の傍聴録その2です。その1はこちら。

国循官製談合事件 第4回公判速報その1 – 国循サザン事件―0.1%の真実―

第4回公判では、検察側の証人西田氏に対して、弁護側からの反対尋問第1回目が行われました。桑田さんの弁護人である高見弁護士、我妻弁護士のお二人から核心をつく質問が行われました。

反対尋問の詳しい内容はこちら。

桑田さんご自身が尋問内容を公開されています。

『国循サザン事件』第4回公判を終えて – 国循サザン事件―0.1%の真実―

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 第4回公判の様子

  • 裁判官 西野吾一裁判長他2人
  • 桑田さんの弁護士 2人
  • 高橋さんの弁護士 3人
  • 検察官 3人
  • 報道関係 7人くらい(前回2回より多め)
  • 傍聴者 約12人

高見弁護士の質問から見える事件の裏側

第4回公判では、反対尋問が長時間にわたるため途中で休憩が挟まれました。

緊迫した法廷の空気の中「それでは休憩いたします」の裁判長の声とともに法廷内の空気は一瞬緩んだかに思えましたが、休憩中も弁護団、検察側とも次への準備に追われるている様子。

休憩は通常10分〜15分ですが、時間になっても裁判官が入廷せず、張りつめた空気のまま数分が経過しました。

10分くらいたった頃裁判官が入廷し、ようやく再開。

開口一番、高見弁護士からは

高見弁護士:H26年2月の強制捜査以降これまでに、検察官に事情聴取されましたか?

西田氏:はい。されました。

高見弁護士:これまでに何回くらいされました?

西田氏:よく覚えていません。

何回かこのやり取りの中で検察官より異議申し立てがありましたが却下。

高見弁護士:事情聴取中、検察官はメモをとっていましたか?

西田氏:はっきりと覚えていませんが、書き取りなどは事務官の方がされていたように思います

高見弁護士:検察官はメモを取っていなかったのですか?

西田氏:そうですね、あまり記憶にありません

高見弁護士:あなたから話を聞いてもメモを取らないのですか?

中略

高見弁護士:事情聴取後の調書にサインする際はどのようにしていましたか?

高見弁護士:今回の証言の準備のために打合せは何回しましたか?

西田氏:4−5回でしょうか

高見弁護士:最終の打合せはいつですか?6月1日ですか?15日ですか?

西田氏:6月15日(第4回公判日)の公判の前に15分くらいでした

高見弁護士:さっきの休憩中も打合せをされたのではないのですか?

西田氏:していません

高見弁護士:でも、一緒にどこかに入られましたよね?

西田氏:いえ、検察官は控え室に連れて行って下さっただけでどこかに行かれました

高見弁護士:では、部屋で一緒にいたのではないのですか?

後略

これらのやり取り中にも、検察官からは何度か異議申し立てがありましたが却下されました。

私は一連のやり取りを聞きながら「高見弁護士は何を確認しているのだとうか?」と思いつつも「検察官ってメモ取らないの?」など色々と素朴な疑問が湧いていました。

まさに高見弁護士の狙いはそこだったのかもしれません。

裁判官にも傍聴者にも「おかしいと思いません?」と、質問を繰り返す中で気付かせようとしていたのではないかと。

この一連のやり取りでは、単に

  • 事情聴取は何回行われたのか
  • メモを取っていたかどうか
  • 証言のための打合せは何回行ったのか
  • 休憩時間に検察官と話しをしたかどうか

の確認のように思われました。

しかし、このやり取りの中の異議申し立ての

検察官:本件とは全く関係のないことを繰り返し質問しています

に対して

高見弁護士:関係ありますよ!だって検察はメモを捨てたんですから!

と高見弁護士は興奮気味に反論。

続けて

高見弁護士:この質問は証人の証言が正しいのか、証人は証人としてふさわしいのかどうかを見極めるためです

と今回の尋問の狙いを明らかにし、傍聴席がどよめくシーンもありました。

 高見弁護士の質問が意味すること

確かに質問の中で、検察官が調書を作成する場合には、話しを聞きながら整理して調書を作成するわけですから、考えればメモなどを取るはずです。

メモは義務ではありませんが、何ページ、ときには何十ページにもわたる調書を作成するには、当然メモはするでしょう。

メモには、検察にとって都合のよい話(桑田さんを有罪に追い込む話)ばかりではなく、逆に桑田さんが有罪でないということにつながる話も記録しているはずです。

しかし、調書には検察に都合のよい話しか現れません。今回の反対尋問では、逆に「証言の信頼性を疑わせる、検察に都合の悪い話」がどんどん出てきて検察は慌てふためき、異議申立を連発してなんとか尋問の腰を折ろうとしていました。

このような状況をふまえて、今回の事件で検察は取り調べメモを廃棄した、と高見弁護士は明らかにしたのです。元厚生労働事務次官の村木厚子さんの郵便不正事件でも、大阪地検特捜部は取り調べメモを廃棄して問題になりました。

取り調べメモ「すべて廃棄」:時事ドットコム

また、高見弁護士は、検察が捜査を終えた今となっても、公判の直前に証人と何度も打ち合わせをしていた、ということを明らかにすることで、証人の証言が信頼に足るものかどうか疑問を投げかけていたのでした。

高見弁護士の問題意識は、

検察は、取り調べメモを廃棄したり、証人に働きかけたりして、自分たちに都合の悪い事実を隠していた

というところにあったのです。

第一「一般人から考えると、とても厳密に行われていると思われている事情聴取だけど、案外いい加減なのね」というのが、これらのやり取りを聞いた中で強く感じたことでした。

これは私だけではなく、傍聴していた人の多くが感じたことではないでしょうか。

休憩明けに行われたこの質問のやり取り。

実は、このやり取りの中に今回の事件の全てが集約されていると言えそうな内容だったと思われます。

今回の事件では、桑田さんとダンテック社の高橋社長との間で官製談合があったとされているわけですが、逮捕時から桑田さんもダンテックの高橋さんも「やっていない」と無罪を主張しています。

にも関わらず二人は逮捕起訴され、今に至っているのです。

今回の裁判は約2年かかるといわれています。それはなぜか? たくさんの証人がいるからです。今回の事件で、検察は客観的証拠だけで起訴することができず、多くの関係者の取り調べを行い、大量の供述調書を証拠とすることで、ようやく起訴することができたということです。

その供述調書が、高見弁護士の指摘するように、検察の都合のよい話ばかりでつくられていたら? 証人が公判で証言する前に、検察と打ち合わせをしていたら? 真実が歪められているということはないでしょうか?

公判は始まったばかりというのに、最初の証人である西田氏の証言の信頼性が足元から突き崩されました(前回ブログ)(桑田さんの記事)。これは何を意味するでしょうか?

強制捜査から逮捕まで約9ヶ月、その後、逮捕起訴から初公判までに1年以上の時間がかかったこと、その中で何が行われていたのか?

これを解く鍵が、今回のやり取りに含まれていたのではないでしょうか。

第4回公判速報その2では、休憩後の質問だけになりましたが、とても重要な部分でしたのでその場の状況をお伝えしながらの報告とさせていただきました。

その後についてはその3に持ち越します。

桑田さんを支援する会では、桑田さんの冤罪をはらすべく動いています。

公判を傍聴するたびに、0.1%を証明する真実が見えてきます。

ぜひご一緒に、その真実を確かめてください。

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