八田&桑田【国循サザン当事者が真実を語るセミナー】終了後対談

国循サザン事件-0.1%の真実-無罪を訴える桑田成規さんを支援する会Nです。

2018年2月22日(金)東京、3月3日(土)大阪で「国循サザン事件当事者が真実を語るミニセミナー」を開催いたしました。

両セミナーを通して、2016年の初公判前からご支援くださっている八田隆さんが司会を勤めてくださいましたが、大阪セミナー終了後にダイジェスト版の対談を収録させていただきました。

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3月16日(金)の判決を前に、事件の全容とこれまでの公判を振り返りながら、検察は何を主張しているのか?この事件の真相は?について、セミナーを終えて感じた八田さんの質問に桑田さんが答える形で進めております。


八田隆×桑田成規対談(20180303国循官製談合事件・大阪セミナー後収録版)

当日のセミナー全体の動画は追って公開させていただきますが、まずはダイジェスト版をご覧ください。

※八田さんのブログはこちら

#検察なう (566) 「国循サザン事件 東京・大阪セミナー終了 桑田氏との対談動画」 3/4/2018 – 「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

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国循サザン事件ー0.1%の真実

ー以下動画のテキストー

《八田》先週東京でセミナーをやって、今日大阪でセミナーをやらせていただきました。お疲れさまでした。

《桑田》お疲れさまでした。ありがとうございました。

《八田》セミナーに来られなかった人のために、セミナーで触れたポイントをダイジェストで収録したいと思っています。

今回セミナーに際して、私が事件に関して思うところで非常に特殊だと思われる点をいくつか挙げさせていただいたんですけれども、その中で特に2点、まず事件性が非常にあいまいだと思うんですよね。

たとえば官製談合ということを聞くと、一般的には金品の授受があって、情報を漏洩すると。それによって入札という手続きの公正が害されるのは非常によくわかるんですけれども、今、検察が主張している3つの公訴事実、1つめは入札に際して体制表を送ると。あるいは2つめの仕様書案を作る際に一社のみを関与させたという点ですとか、3点目の公訴事実ですね、お付き合い入札。

これらが普通、入札にあまり詳しくない一般の人、我々が聞くと、それ自体が悪いことなのかという非常に素朴な疑問を感じるんですね。

その入札に関して特別な知識がないというのは裁判官も同じだと思うんですよね。その裁判官の方がそういった公訴事実を聞いて、本当にその行為が悪いのか思うのかどうかというのは、非常にあいまいな印象を持ちます。

いわゆる事件性自体が非常にあいまいであると。なぜ事件性があいまいかというと、私はこれが検察によって作られた事件だと思ったんですね。それに関して桑田さんはどういうふうにお考えでしょうか。

《桑田》まず第一に、検察のそもそもの狙いは官製談合だけではなかったというところだと思うんですね。

ひとつはやはり贈収賄ですね。

私が収賄側、ダンテックの高橋さんが贈賄側で、金品の授受あるいは利益供与のようなものがあったのではないかというところが彼らの第一の狙いであったと。

そのとっかかりが官製談合、まあ「とっかかりが」というのはおかしいですね、結果として官製談合が残ってしまったということですね。

一般的に官製談合というのは、官側が民の特定の企業に利益の供与、まあ情報を渡すということなんですよね。当然見返りがあってそれをするというのが一般的なので、そういったところで公務員の贈収賄が狙えるんじゃないか、というのが彼らの目標であったと。

ところが調べてみると、かなり長期間にわたって捜査をされた結果、出てこなかった。なので、しかたなく官製談合だけで事件を作ったというところが、彼らのやったことの結果として残ったと。

《八田》着手した時点では、いわゆる官製談合が、一般の人がイメージするところの見返りがあっての情報漏洩だった、利益供与だったと。

《桑田》入札というのは業者側が何社か参加して、お互いが相手のことを知らない状態で札(ふだ)を入れるのが公正な競争であるというのが本来の姿ですね。

ところが官側が知っている情報、たとえばある企業がすでにこれぐらいの見積書を出してきていて、おそらくそれに近い価格を入札で出してくるというのが、官側はもちろんわかっているわけです。それを別の企業に流すと、受け取った企業はそれを参考にして相手がどれぐらいで札を入れてくるかわかるわけですから、そういった重要な情報を私がダンテックに渡したんだろう、というのが当初の検察の見立てだったんですね。見積書を渡したんだろうと。

ところがそれはなかったということで、困ったということで、体制表と。なにかは渡しているだろうと探して、体制表を渡しているじゃないか――そこは争いのない事実なんですけれども――、それを使って検察がなんとか事件にした、というところだと思いますね。

《八田》なるほど。ただ、その体制表を渡したところで、それが実際公正を害するという行為に当たるのかどうかというのは非常に微妙なところですよね。

《桑田》そうですね。私としては、体制表だけでは、当然、なにもわからないと思っています。公判に来られた証人の方も、誰一人として、それをもって入札の価格が類推できる、推測できるということはおっしゃらなかったんですね。

だから、そういう意味でその体制表の意味というのはもう否定されている。入札における意味はないということになりますね。

《八田》なるほど。ただ、入札にかかる資料を、それが重要でないとしても、渡したことが法に触れるんだ、というのが検察の主張だったんですね。

《桑田》そうですね。入札の資料の一部であったと。それは私は知らずに渡してしまったんですけれども、それが故意であって、しかも高橋さんと共謀して行った行為だと

入札の資料というのは、そもそも他社に見せてはいけない、そういう前提で作られたものではないわけで、その渡す行為そのものが公正を害しているということです。

《八田》結果的に公正を害していなかったとしても、それになりうる行為をしたということで。

《桑田》そうですね。もともとの法律でも、公正を「害すべき」行為が罰せられるのであって、「害した」行為ではないんですね。その可能性、蓋然性というんでしょうね、その高いものについて処罰されるということになると思いますね。

《八田》ただ相当弱いですね、検察の主張というのは。あと、今の見返りというところと非常に関係が深いと思うんですけれども、今回の事件を見ていて、動機がまったく存在していないと。

いわゆる官製談合という場合には、その官と民の癒着のなかで、当然、なんらかのベネフィット(利益)が官の側にあるわけですよね。それは金品の授受であったり、あるいは「上がり(退職)」が近くなった人が天下り先として企業に対して便宜を図ったりであると。それで天下りを受け入れてもらうと。

そういうことがあるんですけれども、今回の1回目の入札というのは、桑田さんが国循に移籍してからわずか半年後の話であって、当然その天下り先を確保しようなんて動機はまったくなかったんですよね。

《桑田》もちろんないです

《八田》で、さきほどから言っていますように、金品の授受といったことはまったくないと。そうすると動機というものがまったく見えてこないんですけれども、それは結局、検察は今どういうふうに主張してるんでしたっけ。

《桑田》動機についてはわからないという立場なんですね。

私が勾留されてからは黙秘しているとうことと、そもそも否認をしているので、やったのならば動機をしゃべるとは思うんですけれども、やっていないので動機もなにもないわけなんですよ。

それを検察は捉えて、否認をしているから動機はわからないが、国循のために、国循をよくしようと思ってやったんだろう、ただそれは法に触れる行為で、それが目的であったとしても許されることではない、というふうな感じで(論告では)書いてありますね。

《八田》なるほど。つまりいいことをしようとしたのかもしれないですけれども、それはテクニカル(法的には)法に触れるんだと、そういう主張ですよね。それは検察としては本来やりたくない主張なんですよね。

なぜなら、それは必罰感情につながらないじゃないですか。検察官は、あくまで悪人を懲らしめることによって彼らは光り輝く、そういう組織なんで、そういうふうに、いいことをしようとした人を罰するというのは、本来であれば取りたくない主張だと思うんですよね。やはり、そこでも非常に彼らの主張の無理筋な雰囲気を感じますよね。

《桑田》そうですね。

《八田》私は、証拠というのは4種類あると思うんです。

1つは、被告人がクロ(有罪)でなければ説明が不可能な証拠。

もう1つは、被告人がクロである方が合理的に説明できる証拠。

3つめがシロ(無罪)である方が合理的に説明できる証拠であり、最後の4つめというのがシロでなければ説明が不可能なもの。

検察というのは、公判ではこの1と2しか出してこない。いかに無罪に結び付く証拠であっても、それは出さないというのが彼らのやり方なんですよね。公訴事実に対してどれだけ弾劾しても、怪しいと思うものを、いってみればニュートラルまで戻すというだけなんですけれども、やはり証拠のなかには桑田さんの無実を証明する、いわゆる第3、第4の証拠というのはあったと思うんですよね。

私がまず思ったのは、情報を漏洩した相手とされるダンテック社長の高橋さんが、その情報を受け取ったということ自体を否認していますよね。これが非常に重要なことだと思うのは、彼はほかの類似事件で、徳島大学の情報機器の導入に絡んで、贈収賄の贈賄側として立件されて、それは認めているわけですよね。

明らかに罪として重い贈収賄の事件の関与を認めていながら、それよりも軽微な事件の官製談合で、彼は情報を受け取ったとは言っていない、否認しているわけですよね。

《桑田》そうです、正確には、共謀を否認している、となります。

私が体制表を送って彼が受け取ったのは確かなんですけれども、彼はそういう目的でそれを求めたのではないし、共謀してそれをやったのではないということで、そこは明確に否認をされていますね。

《八田》そうすると、もし、本当に彼が官製談合を意図して情報を受け取ったということがあるんであれば、贈収賄を認めていながら、官製談合を否認するというメリットはまったくないと私は思うんですよね。

それが、桑田さんがもしクロであれば説明できない、逆にいうとシロである方がより合理的であり、私としては、素人判断なんですけれども、桑田さんがシロでないと説明できないことの一つなんですよね。あとなにを挙げますか。

《桑田》私は、入札に関する体制表を送ったということで訴追されたんですけれども、実はもっと重要な情報を持っていたんです。

具体的にいえば、ダンテックにとっては対抗するコンペティターになる業者であるNECの見積書で、かなり細かいもの、精度の高いものなんですね。

人件費についても単に全体としていくらというようなものではなくて、どういうレベルの技術者が何人いて、単価はいくらで、期間は12か月。それらがきちんと書いてあるものなんですねで。

さらに、100点以上ある保守の機器の見積書。これは、一つひとつ見積を取っていこうとすると大変な労力がかかるものなんですけれども、ダンテックは実際それが取れなくて、本当に苦労されていたんですね、入札の前日まで、ずっといろいろなところを調べまわって、なんとか機器の保守の見積を取れないかと、あがいていたような、まさにそのNECの機器の保守の明細、1個1個、単品ごとに単価がいくらで、個数が何台あるから、じゃあ合計いくらですというのが、全10ページ以上にもなるという、そういう非常に精度の高い見積書を、入札の3か月前に私は入手していたんです。

私が高橋さんに便宜を図りたいと思うのであれば、当然、体制表などを送る必要はなくて、もっと重要な情報で、しかも体制表の情報を包含するこの見積書を渡せば済むはずなんです。

《八田》なるほど。入札に際して勝つことができる決定的な情報を桑田さんはすでにもっていて、もし検察が主張するようにダンテックに利するんであれば、それを渡せばいいだけの話だと。

《桑田》しかも3か月も前に持っているわけですから、高橋さんが参加することがわかった時点で渡せばいいと思うんですよ、もしそういうものを持っていたとすれば。

《八田》なるほど。

《桑田》私が実際に体制表を送ったのは、入札の当日だったんですね。

そこも一つ疑われるポイントであったとは思うですけれども、私としては、その体制表が自分の手元に届いたのがまさにその日だったから、その日にポンと送ったというだけの話であって。もっと重要な情報はずっと前から持っていたのであって。

受け取った方の高橋さんも、それを本当に利用しようと思ったのであれば、時間が必要だと思うんですよね。もらった資料を検討して自社の入札の価格を決めるというプロセスには、ある程度時間が必要ですので、入札の当日に渡されて使えるようなものではないと思うんですね。

だから、もし私に高橋さんに便宜を図るつもりがあるんであれば、もっと前のタイミングで詳細な見積書をお渡ししたはずで、ところがそういったことはやっていないということですね。

《八田》あと、もう少し細かい点にはなるのかもしれませんけれども、1回目の入札の際にその仕様書のなかで、医療情報技師の常駐を義務付けるというようなポイントがあって、その時点ではNECが現行業者であったんですけれども、その条件を満たしていなかった。それを事務方から指摘されて、NECは入札に参加するには不適当なのではないかというふうに事務方に言われたときに、桑田さんが、NECは現行業者だから履行能力に問題はないはずだということで入札から外さなかったという事実がありましたよね

もし1回目の入札に際して、桑田さんがダンテックに勝たせようとしたのであれば、その時点でNECを外してしまえばいいはずだったのに、それをしなかった、というのも、やはり桑田さんがシロである方がより合理的に説明がつき、もしかするとシロでなければ説明が不可能な証拠だったというふうに感じましたね。

《桑田》そこでNECを落としてしまえば、書類不備あるいは入札参加資格がないということで、本来はNECは入札すらできないんですね。

入札参加資格をなぜ見るかというと、まさに履行能力があるかないかという事前審査なんですよね、ですので、その段階で「履行能力なし」としてしまえば、ダンテックの対抗業者はいなくなってしまうので、当然、ダンテックに有利になります。

《八田》なるほどね。この事件ずいぶん長く時間がかかっている。

私もずっと見させていただいているんですけれども、もちろん、冤罪被害者として同じ立場にいた人間からすると、桑田さんが多くのものを失ったというのを見るのもつらいし、その気持ちもよくわかるんですけれども、完全に第三者の立場として見ても、この事件は非常に憤りを感じるところがあるんですよね。

それはなにかというと、やはり国循というのはナショナルセンターですから、税金が投入されているわけですよね。その税金を効率よく使うために、システムを効率化しようと。

それで、桑田さんが優秀な技術をもっているということでヘッドハンティングされて、国循の内部を改革した。それは非常に称賛される行為なんですよね。それが、国民、納税者としてわれわれに利する行為であったにもかかわらず、結局、それを完全にちゃぶ台返ししてしまったというのが、私が見るところの検察が行ったことだと思うんですよね。それに関してはどうでしょうか。

《桑田》実際、私が国循に赴任してから、国循の情報システムの保守にかかる経費というのはどんどん落ちていったんですね。

それはダンテックが参入して価格競争原理が働いたというのもあるし、それまでの情報システムの保守体制というのは、やはりゆるかったというか、モノばかりが溢れていて十分に活用できていなかった。そういったところを整理して、機器の台数も減らしましたし、入札の対象となる金額そのものもどんどん落ちていったと。単に競争性によって安くなったわけではなくて、求めるものそのものが減っていったと。

そういうところからしても、資源を効率的に使う、税金を無駄遣いしないという点で、私の国循に対する貢献というのは相当程度あったと思っています。だから、そういったものが一気に失われてしまって、しかも刑事事件で訴追されるというような、人生において相当インパクトのあることで普通起こらない――そう思っていて結局起こってしまったりするんですけれども――ことが起こってしまった。

だから、同業の方がやはり怖がってしまって、過剰に防衛してしまうと。 私は現場のために働くのが自分のいた仕事の職務、責務であったと思っていて、情報システムを担当するわれわれは裏方なんですね。実際に働いているのは、お医者さんであり、看護師さんであり、医療従事者、あるいは国循であれば研究者の方、その方々のパフォーマンスを最大限に発揮するための情報システムの整備が、私の目指すところであって、私自身が活躍することではないんですね。

それを考えると、私と同じような立場にいる方が、過剰に自己防衛して、現場の声を無視して、手続きだけを固めてしまって、自分が訴追されないようなやり方で、時間をかけて、お金をかけて、入札をするようになってしまった。そこがやはり非常に残念ですね。

だから、今となっては、入札に対してよりお金をかけていると思いますが、その割に現場へのベネフィットはより少なくなっているという現状をみると、本当にこれは悲しい事態になってしまっていると思います。自分の人生を壊されてしまった、ということもさながら、やはり同じ業界で働く方々または医療関係の現場で働く方々へのマイナスのインパクトの大きさというのが、非常に自分の心に堪えるものでありますね。

《八田》悪いことをしたと言われて、いやそれはしていない、というだけではなくて、私は桑田さんはいいことをしていた、いいことをしていたのに悪いことをしたと言われていると思います。

それは社会にとってまったく逆行するといいますか、そういったことをする検察に本当に正義があるのかということを感じますね。この事件を見ていて。

《桑田》検察官がどういう組織のなかで、なにを思って働いているかというのは正直わからないんですが、本来、彼らがやるべきことと、彼らが組織として求めているものが相当違うのだろうなということを思うんですよね。

彼らは、もしかしたら一人ひとりは非常に優秀で、組織の中で出世するなり、生き延びていくということで一所懸命やっておられるんだけれども、外部からみるとそれは全然違う方向を向いているんじゃないかなというところを感じますね。

《八田》なるほどね。 判決は3月の16日ですね。吉報をお待ちしております。

《桑田》はい、ありがとうございます。

《八田》今日はありがとうございました。お疲れさまでした。

《桑田》ありがとうございました。

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国循サザン事件についての解説動画は、以下の再生リストで最初からご覧いただくことも可能です。

www.youtube.com

※判決は2018年3月16日(金)9時45分〜大阪地裁の予定です。

このブログでは、2017年12月21日結審され、2018年3月16日(金)に判決予定の国循官製談合事件(「国循サザン事件」)について、事件の解説や公判の傍聴録などを公開しています。

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ぜひご一緒に、その真実を確かめてください。