《ソサエティサイエンスジャーナル》(インターネットラジオ『レディオ与一』)に出演しました(2)

岡山県井原市発のインターネットラジオ局『レディオ与一』の《ソサエティサイエンスジャーナル第548回》に出演いたしました。番組の許可を得て、番組内容の文字起こしを本ブログに公開いたします。(全4回のうち第2回目)

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吉岡優一郎(レディオ与一):起訴まで行くじゃないですか。自分に有利な情報が、起訴までに、入って来ることはない。

桑田成規(国循官製談合事件被告人):ないですね。自分で探すしかないので。

パソコンも当初は押収されていたんですが、しばらくすると、もどってきたので、その中を、もう一回見ながらタイムスタンプをひとつひとつみたり。

疑われている行為の周辺で、いったい私は何をしていたんだろうと考えました。

2012年3月19日の月曜日、朝9時くらいに、その「体制表」を送っているんです。

その日、僕はいったい何時に出勤したんだろう。とか、出勤してから、「体制表」を送るまで、何をしていたんだろう、とか。

「体制表」は、オリジナルは紙なんですが、私はスキャンして送っているんです。
どうしてスキャンしたんだろう、とか。
同じ原本の「体制表」と比べてみて、何が違うんだろう、とか。

本当に入札資料だったのかな、とか。

そうしたことを、ぜんぶ自分で調べないといけないんですね。
それが大変でした。

弁護人がついているとはいえ、弁護人も、数ある中の、100くらいの事件の中のひとつです。

もちろん全力でやってくれていますけど、他の事件にも時間を割いておられる中で、
私の事件の細かいところを調べてくれるわけではない。

なにより、資料の持つ意味は、私でないと、つまり、国循の業務がわからないと、資料だけ見てもわからないですよね。

それを、ひとつひとつ、つぶしていく、ということを、やっていく。
取り調べがあるときには、持っていくわけには行きませんけど
頭に入れて、いろいろ言われても、こうでした、と言えるようにしようと考えていました。

吉岡:「自分がやっていない」という証拠を集める作業は、自分でやっていくしかない、ということなんですね。

桑田:そうですね。テレビでは、弁護士の先生が集めてくれたりしますが。殺人事件とか、カメラの映像を見て、とかあります。

私は、事件の種類が違いますからわからないですけれど。ものすごい量の資料になるわけです。少しでも使える……使えるというのは、自分の無実を証明できる基になる資料になるかな、と思うと、それを、とっておいたりするんですけれども、なかなか、ほんとに難しいですね。

証拠が強い、弱い、があるんですけれど。強い証拠というのは、なかなか出てこない。

間接的に、自分が故意であったか、なかったか、というところを見ていく。

「体制表」の話で言うと、入札の資料であったというのは、客観的に疑いようがない。
2012年3月に送っています。

(ところがそれは)2012年の4月以降の「体制表」だったんです。ただ私が(ダンテックに)送った資料には、「2012年3月時点」って書いてあるんですね。

つまり、よく見れば、3月時点での4月以降の体制表なんですね。

パッとみると、右上に日付があって「2012年3月時点」と書いてある。

勘違いしたのは、そこが大きいんです。

よくよく見たら気づくのかもしれないけど、(私は)勘違いしてしまった。「勘違いしてしまってもおかしくないでしょう」という主張は、取調べでも、公判でも、言っていたんです。

そういった小さいところを(見つける)。

吉岡:他の方もいっしょに立件されたんですか?

桑田:逮捕されたのは3人です。ダンテックの社長と社員、私。起訴されたのは、社長だけですので、私と含めて2人だけです。

吉岡:裁判じゃ、その社長との連携はあったんですか?

桑田:今回の裁判、おもしろくて、被告人がふたりなんです。「弁論併合」と言うんですけれど。いっしょにやりましょうと。

検察と弁護側、双方が合意すればできるんですね。

証拠がほとんど同じですし、別々にやるより、お互いいいだろうという考え方だったんです。

私の弁護人は2人でしたけれど、高橋さんとこは3人なので、いっしょにできれば5人の弁護団になるので、スケールメリットがある。

私と高橋さんは、まったく利益相反がないんです。主張に違いがないので、いっしょに戦えるだろう、ということで。

私と高橋さんは、直接、当時は、会って話すことはできなかったんですけれども、弁護人同士が連携して、共闘態勢でやることができました。

吉岡:なるほど。

桑田:実は、もうひとつ「弁論併合」されている事件があります。

高橋さんは、私の事件が判明した後に、それと別に、徳島大学の先生が贈収賄でつかまった事件があるんですが、そちらの被疑者、被告人です。

私とは全く関係ない事件です。私のは、官製談合で贈収賄はない。もうひとつの大学の先生の事件は、贈収賄です。

同じ業界の方で情報システムをやっておられる方が被告人になっておられる。高橋さんは贈賄側。実は、その弁論もいっしょにやっているんです。

吉岡:そうなんですか?

桑田:強制捜査でいっしょに出てきた資料でやっているというのはあるんだと思うんです。

私には関係ない。最初、「なんでいっしょにやるんだろうな」と不思議だったんです。弁護人の先生にも「いっしょにやる必要ないんじゃないですかね?」と聞いたんです。

実は、弁護士の意見では、裁判官から見ると、全く違うというほうがいいんじゃないか、と。

一方の事件、私と関係ない方の事件は、大学の先生がダンテックの高橋さんにお金を要求して、その見返りとして、いろいろ契約をさせてやる、というものだったんです。
お金が動機の事件なんです。

他方、私の事件は、そういったところが全くない。

私と、向こうの被告人の先生とは、立場的には、組織の中の情報システムを管理監督する、という同じような立場なんです。

事件の中で、やったことが全く違う。

「だから、対比があきらかになって、いいんじゃないか」
「だからこのままほっときましょう」と。

その事件も、弁論併合されているわけですね。非常におもしろいところですね。

吉岡:最初、公判始まった時の桑田さんの心境はどうでしたか?

桑田:はじめてこういう立場になったわけなので、最初は緊張しましたね。何が起こるかわからない。

いままで裁判を見たことはあります。ですが、当事者としてかかわって、どんなタイミングで発言を求められるのかな、とか、やっちゃいけないことは何かな、とか。

やらなきゃならないことは…無罪を勝ち取るために、どんな振る舞いをしなきゃならないのかな、とか。

先だちの方々、こういう経験をされている方に、アドバイスを求めて、お話をうかがいました。

吉岡:一度だけ、傍聴だけでも最初は緊張感を感じました。前に立たされて、となると、どれだけ緊張しただろう、というのは、推して知るべし。

ただ思ったのが、まあなんと、グダグダ感のひどいこと、ひどいこと……。

桑田:来られた時は、検察側証人の尋問の日でしたね。

吉岡:検察側の証言をしている印象がない。あれ?検察の立証になってないじゃん。
なんでこの人を検察が出してきちゃったんだろう、と思いましたね。

桑田:今回、非常に、無理筋の事件だったと思うんですね。

外形的には、私が「体制表」を送ったということはあるんです。ですが、そもそも「体制表」に、実は、意味がないわけです。それで入札の価格がわかったりするものではないですから。送っていいか、と言われたら、良くはないですが。

ですが、それが入札の妨害だ、官製談合だ、というのは、そもそも無理があったんですよね。

検察の方で、国循側の職員を、取り調べをして、事前に、検面調書っていうんですけど、検事が調書を作成して準備をしていたんです。

そうした調書は、裁判に出てくるわけなんですけど、弁護側が同意しない限り、裁判官の目に触れることがないんです。

これは、刑事訴訟法の手続きの重要なところなんです。

我々が同意しなければ、検察は、次に何をするか。

その人を証人として呼んで、法廷で話してもらうんです。書面でせっかく、検察の言ってほしいことを言ってもらって、それがしたためてあったわけですけれど、こちらが同意しない以上、同じことを言わせようと法廷に呼ぶわけです。

法廷でしゃべったことは全て証拠になるのが原則なので、法廷に呼んで、同じことを言わせようとするのが検察の作戦です。

(吉岡さんは)そのひとつを見られたわけです。

呼んできた証人が、どの人も、まぁ腰砕けといいますか

検察が言わせたいことは……検察の質問には答えるんです。それで、話はします。ですが、こちらが別の角度から質問すると・・・。

事前に証人のことを、ものすごく調べました。特に国循の職員については、国循で使っていたその人のパソコンなどが、証拠として開示されているので、どういう業務をしていたとか、事前に調べることができました。

「この人は、言ってることと、やってることと違うよね」とか明らかになるんです。

それを公判で、ぶつけてみて。

そうすると、言ってることがだんだんトーンダウンしてくる。

最初は、(証人は)「入札はこうあるべき」とか言うんです。
「入札とはこうあるべきで、公正でなければいけません!」
「特定の業者に情報を教えてはいけません」
とか言うんです。

「体制表を送ったりしちゃいけません」とかね。

ところが、その証人ご自身も過去の別の入札で同じことをされていたりしている(ことが公判で出てくる)のです。

私がダンテックだけに肩入れして「仕様書」の内容を変えた、と検察は言っていたんですが、じゃあ別の証人、私の国循の前任者も、NECと同じようなことをしていたんです。

私はべつに「それが犯罪だ、おまえのほうが悪い」と言いたいんじゃない。

業務の上で、法律で守られる公正さ、と、レベルが違う。実際の国循の実務、業務の実態にあってないといけないと思うんです。

国循の業務は実際こういう風にやっていたんですよ、と本当の意味で明らかになった。
その(明らかになる)過程を見たので、検察では勢いがよかったのが、崩れていったんだと思います。

吉岡:僕は、一回しか見てないので、全体を見ているわけではないので、あれがすべてと思っちゃいけないんでしょうけど、一回見ただけで、「あ、これ、桑田さん、無罪だわー」と思えちゃった。

桑田:まあ、極端な話ですけれど。

かなり検察の用意した証人が、危ういものでしたね。

検察は、すべて知らなかったと思うんです。一部知って一部知らなかったと思うんですけれど。

そこまで弁護側につっこまれると思わなかったと思うんですね。

開示される証拠っていうのは、とても大事だなと思いましたね。

よく世間では、「検察による証拠隠し」って言われますよね。特に冤罪事件で、後になってこんな重要な証拠がありました、と。

吉岡:何十年も経ってからとかね。

桑田:ああいうことは、まったく、あってはならないことです。

私の場合は、基本的に、すべての証拠を開示してもらっていると思います。

国循の主要な職員のパソコンの中身などもデータ化されて開示されているので。それが調べられたのは、大きかったです。

検察側も全部調べてないと思います。ものすごい量ですから。

4テラバイトのハードディスクを2つ準備して、検察に「ここに入れて下さい」と言ったら、ほぼいっぱいになりました。

全部みるのはやはり難しいと思います。

事件に関係のありそうなところ、私とのやりとりとかに集中して見たと思います。証人単独に、私と関係なくどんな業務をしていたか、とか、は見てないはずです。そこをつぶさに見て、国循で、どういうレベルで仕事が行われていたか、とか、業務をしていたか、ということを(公判で主張しました)。

そう言った感じで、証人は、全部つぶれていったんですね。

それが大きかったですね。

(第3回目につづく)

 

動画でご覧になる方はこちらから(約1時間25分)


ソサエティサイエンスジャーナル第548回 ゲスト出演