これまで22回の公判を傍聴して支援者Nが思うこと
明日から始まる桑田さんへの被告人質問を前に、4月26日の第1回公判から前回までの22回の公判を傍聴して感じてきたことを、少し振り返りたいと思います。
私が桑田さんと知り合ったのは2015年の夏頃。正確には、その時には「存在を知った」という程度でした。それから直接お話するようになったのは2015年の秋以降だったでしょうか・・
事件のことも、桑田さんの置かれた立場のこともわかっていましたが、実際には4月の初公判が始まる1ヶ月前くらいまでは「知っている」程度のことで、今にして思えば「理解している」とは違っていました。
ブログの公開と情報発信
初公判の1ヶ月くらい前から「今後どのように動いていくのが良いのか?」という話しが出てきました。というのも、桑田さんが八田隆さん*1にご相談し、アドバイスをいただいていたからでした。
八田さんはブログ、Facebookなど様々なメディアで積極的に情報を開示し、多くの方に刑事司法の矛盾を問いかけておられます。
もちろん国循官製談合事件についても、桑田さんが冤罪被害者であるということで、様々な支援をしてくださっています。
その中で、八田さんは、桑田さんにも現状をしっかりと伝えるべきであること、ブログやSNSを利用して多くの方に知っていただくべきであることを、強く勧めておられました。
しかし、桑田さんとしては、当時はまだ国循に籍があり自由に活動できないということや、公判前であるということを理由に慎重になっておられましたが、意を決してこの事件を公にしていくことになりました。
そこからはブログの準備、FacebookページやTwitterの準備など、初公判前の超多忙な時期にもかかわらず、手を尽くしてこられました。
桑田さんを応援するものとして、実際には何もできないわけですが、情報発信やSNSで多くのひとに伝えること、傍聴者として公判の様子を伝えることをしていこうと動き出したのが、支援者の会の始まりでした。
緊張の第1回公判
これまで裁判所に入ったこともなく、裁判などド素人の支援者にとって、第1回の公判は興味と不安と緊張と・・・初めての大阪地裁を前に、スマホのカメラのシャッターを切ろうとして警備員さんに怒られた・・などということもありました。
そこから22回。
最初数回は、専門用語の理解と状況把握に苦しみ、まるで授業が理解できないのに座って授業を受ける時のような(そのような経験がない方もおられるかも)、そんな時もありました。
今回の事件は、とても特殊な内容であり、その時の現場の様子や状況を正しく理解するには相当な時間がかかります。
支援者も、傍聴を重ねながら少しずつ理解し、理解するごとに「これは大変なことだ」と、改めて事の重大さを感じるのでした。
大きく食い違う検察側証人と弁護側証人の証言
3人目の証人になった頃でしょうか。
毎回同じことについて、それぞれの立場から証言されるので、少しずつ状況が見えてきました。しかし、検察からの証人への質問は「重箱の隅をつつく」ような内容が多く、執拗に同じことを何度も聞いてきます。
ただ、素人の私が聞いても「検察は墓穴を掘ったのではないだろうか?」という場面が、何度もあり、傍聴席から笑い声が聞こえることもありました。
さらに弁護側の証人となってくださった、医学情報学の専門家、松村教授は
今回のことが有罪になるようなことがあれば、発注者が新しい技術を求めると訴えられることになり、我々は常にビクビクしながら仕事をしなければならなくなる。 これは非常に困ることであり、日本のためにならない。 発展を妨げることになる。
と証言され、黒田教授も
いろいろと今回の話を聞けば聞くほど、桑田先生が罪に問われるなら、医療情報学に関わるほとんどの人が罪に問われるのではないか?と思った。 医療情報システムを現場でマネジメントする業界は、最近特に人手不足。特に国循クラスのポストを受けてくれる人は少なく、それを引き受け、私利私欲で動いたのではなく、やるべきことをやった桑田さんが罪に問われるとしたら、この仕事をやる人はいなくなる。 罪ではないことは罪ではないというべきであり、私たちの業界のルールを正しく知っていただくためにここにきたのです。
と、証言台に立たれた理由を、強い口調で訴えられました。
検察側の描いたストーリーと、現場の専門家が語る状況、行われたことの正当性は明らかに相反する。
ではなぜ、国循内で桑田さんだけが起訴されなければならなかったのか・・・
検察側証人の一人に検察官から「桑田さんと高橋さんが無罪になったらいいと思うか」という質問がありました。
その時の証人は
まず、感情的にならないようにちゃんとお話しできるかどうか、自信がないんですけど・・・
と前置きをした上で
みんな、縛られたルールの中で効率よく仕事をするために一生懸命やったこと。誰も高く、余分なお金でしようとしたわけではなありません。みんなが一生懸命仕事をやった結果だと思っています。
ルールの中で一生懸命やった結果、それが罪になるというのはおかしかなと。そうであれば、一生懸命仕事をする人より、仕事をしない人のほうが得をするという仕組みになってしまうのではないかと。一生懸命働いた人が損をするというような仕組みを作った人のほうが、悪いんじゃないかと思わなくもありません。
これで、桑田先生や高橋さんに罪があるというのはおかしいと。一緒に仕事をしてくれた人、部下もたくさんいるので、その人たちのためにも無罪になってほしいと思っています。
メモをとっていた私はもちろんですが、傍聴席からすすり泣きも聞こえた、証人の涙を必死でこらえながら、なんとか冷静になろうとしながらの訴えは、とても印象に残っています。
これから被告人とされている桑田さんご本人の、被告人質問が始まります。
読んでいただくだけではわからない、その場の空気、話す速さ、声のトーン・・・様々な様子を含め、真実は見えて来るはずです。
これだけの証言が揃ってでさえ、桑田さんの冤罪がはらされることは容易ではありません。
しかし、証言台に立ってくださった方々の「桑田さんが有罪になることがあってはならない」との証言を支えに、最後までしっかりと支援してまいります。
ぜひ、傍聴にいらしてください。
桑田さんを支援する会では、桑田さんの冤罪をはらすべく動いています。
公判を傍聴するたびに、0.1%を証明する真実が見えてきます。
ぜひご一緒に、その真実を確かめてください。
現在の情報発信ー
で、情報を公開しています。
*1:日本の歴史上初めて国税局告発、検察特捜部起訴の事案で無罪判決が確定し、冤罪を晴らした