国循官製談合事件第22回公判傍聴録
国循サザン事件-0.1%の真実-無罪を訴える桑田成規さんを支援する会Nです。
2017年2月13日13時30分〜15時00分、大阪地方裁判所第603号法廷にて、国循官製談合事件(「国循サザン事件」)の第22回公判が行われました。
この傍聴録は、逮捕起訴された桑田さんを支援する会として動いているNが、第22回公判の様子や感想を傍聴した本人としてアップしています。
※第11回より更新が滞っており、ご迷惑をおかけいたしております。順次遡りましてアップしてまいりますので、今しばらくお待ちください。
※Twitterではなるべくリアルタイムに投稿しております
国循官製談合事件の冤罪被害者を支援する会 (@southerncase) | Twitter
第22回公判の様子
- 裁判官 西野吾一裁判長他2人
- 桑田さんの弁護士 2人
- 高橋さんの弁護士 3人
- 検察官 3人
- 報道関係 1人
- 傍聴者 約10人
高橋さんの弁護側証人
今回は、桑田さんと共に起訴・逮捕された元ダンテック代表取締役社長の高橋さんの証人として、清水和幸さんが証言台に立たれました。
※清水証人は問題となっている入札に関わった業者の方ではなく、ダンテックと同じような業務を手がけ、同じような入札に関わってきた経験をもとに証言されました。また、桑田さんとの面識はありません。
清水さんは、ダンテック社と同じく業務システムの導入、運用保守を業務とするSIDソリューションズの取締役であり、公的機関の入札にも関わってこられました。
これまで100件以上の入札に関わり、受注された業務は、機器販売、システム設計、構築、運用、保守、セキュリティマネジメントなどで、特にシステム設計や構築は多く手がけておられるようでした。
運用保守の入札に新規で参入する場合は?
(高橋弁護士)
運用保守の入札に新規で参入する場合には、どのような情報が必要ですか?
(清水証人)
運用保守ということは、すでにどこかの会社で作ったシステムで運用されているので、どんなシステムで、どんな組織で運用されているのか、という細かな話を聞かなくてはいけません。
このような情報は、仕様書からだけでは読み取れません。
(高橋弁護士)
その場合はどうするのですか?
(清水証人)
お役様から仕様書をいただいて、担当者の方に会いに行ったり、会えない場合はメールで問い合わせたりして、より多くの情報を得るようにします。
(裁判官)
お客様とは、誰ですか?
(清水証人)
発注者です
このように、やはり新規で入札に参加する業者にとっては、これまでどのように動かしていたのか、何が必要になるのかなど、様々な情報を入手することが必須であり、発注者に問い合わせたり、質問状を送ったりしながら情報収集を行うことは普通のことであることがわかりました。
業務体制の人数を知るということ
桑田さんと高橋さんが起訴された際の公訴事実にもある
2012年度の一般競争入札(以下,入札①といいます)において,NECが競争参加資格審査のために提出していた運用支援業務従事者数等が記載された書面を,電子メールにてダンテック高橋氏に送信し,NECの体制を教えた。
という内容。
これまでの公判でも、繰り返し取り上げられていますが「業務体制の人数を知ること」に対する考え方は、検察側証人と弁護側証人では全く異なります。
公訴事実にもあるように、検察側は「業務体制の人数を知ること」は入札の公正を害することであるとしています。
公判の中でも、2012年度の一般競争入札においては、現行業者であったNECの業務体制人数が記載された資料を「いつ・だれが・どのように取り扱ったのか」が何度も話題になりました。
検察側証人への質問や証言を聞く限りでは、入札の公正を図るためには「現行業者の情報を漏らすことは悪である」かのように聞こえます。
しかし、運用保守の入札においては、
- 現行業者の情報を正しく知ることは、受注する意欲のある新規入札業者が、入札に参加して受注した際に、スムーズに運用保守業務を行うために必要なことである
- 積極的に現行業者や発注者に現在の情報を入手するべく質問することは通常である
ということが、これまで証言をしてくださった医療情報学の専門家である松村教授、黒田教授の証言からもわかります。
清水証人からも、
対象業務について、現行業者が何人体制で行っている情報は参考にはなるが、それを知ることで入札が有利にはならないと思う
と証言がありました。
また、高橋弁護士から証拠資料として提出されているNECの業務体制表が清水証人に提示され「ここから何が読み取れますか?」という質問に対しては
(清水証人)
NECは社内的にはこのような事業部が関わっているのかということ、どのような資格を持った人が関わっているのかということだけ
と答えられました。
仕様書案の作成
(高橋弁護士)
入札で運用保守業務を受注した際、次年度の仕様書案の作成を発注者から依頼されることはありましたか?
(清水証人)
ありました
(高橋弁護士)
発注者側では作成できないのですか?
(清水証人)
できないと思います。パソコンなど物品などは単体でできると思いますが、システムの運用保守については、発注者側が要望を仕様書の形にするのは難しいと思います。
(高橋弁護士)
発注側とのやりとりはどのように行いますか?
(清水証人)
現状のもので良いものがあるか、改善提案やメーカー動向の情報などをお客様に提供してディスカッションしていきます。
(高橋弁護士)
その際に、自社に有利になるようなものを入れることはありますか?
(清水証人)
自社に有利というよりも、実績のあるものや動作検証のできているものを入れることはあると思います。
これらの質問と答えから、現行業者が関与して仕様書案を作成することが、国循以外でも一般的に行われていることがわかります。
前回、前々回の桑田さんの弁護側証人の方からも証言がありましたが、パソコンやモニターなど物品の調達ではなく、国循のような大規模病院でのシステム構築(カスタマイズが行われる必要があるもの)や、運用保守業務の場合には、仕様書を作成する担当者(契約係)には専門的すぎてわからないことが多いため、業者と相談しながら仕様書案の作成を依頼することがあるということです。
ここまでの公判を傍聴し
2013年度の一般競争入札において,ダンテックのみを仕様書案の作成に関与させるとともに,ダンテック以外の業者の参入が困難となるような条件を盛り込んだ仕様書を作成し,その事情を隠して入札に供した。
という検察の見立てに対して、疑問を抱くのは私だけではないと思われます。
同じ物事も見る角度によって、見方は全く変わってくる
2016年4月から始まった国循官製談合事件の公判も、検察側証人・弁護側証人を合わせて10人以上が証言台に立たれました。
それぞれのご経験に基づき、それぞれのお立場から見える角度で、裁判官への宣誓に基づいて証言されたことと信じます。
しかし、同じ物事について、あまりにも真反対な証言が繰り広げられる状況に「同じ物事でも、ここまで見る角度によって違うものなのか?」という印象を受けたのは、弁護側証人の証言を傍聴する中で感じたことでした。
第22回公判からは、桑田さんが証言台に立ちます。
まだまだ続くこの裁判ですが、どうぞ傍聴席にお越しになり、みなさんの目で、耳で確認にしてださい。
これからの山場を乗り切り、冤罪を晴らすためには、証言台に立ってくださった方々同様、一人でも多くの支援者の力が必要です。
桑田さんを支援する会では、桑田さんの冤罪をはらすべく動いています。
公判を傍聴するたびに、0.1%を証明する真実が見えてきます。
ぜひご一緒に、その真実を確かめてください。
なお、次回期日は2017年2月28日(火)13時30分〜 大阪地裁603号法廷にて行われます。
ぜひ、真実をご自身の目で確かめにいらしてください。
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